翼~開け放たれたドア~

捨てきれない過去

~空夜 side~

それは、本当に突然だった。




〈は?いねぇの?〉

雷さんの間抜け声が俺の耳元のケータイから響く。

「はい。今日は一度も顔を見せてませんよ」

だろ?と振り向くと、直たち4人は頷いてみせる。

〈どこ行ったんだ?春輝のやつ…〉

雷さんが朝起きたとき、すでに春輝はいなくなっていたらしい。

もう昼過ぎになる。

出掛けるなら、連絡の1つくれぇあいつなら寄越しそうなんだがな。

それどころか、何個かの荷物もなくなっていたらしいから、雷さんとしては心配で仕方ないんだろう。

「来たら連絡いれます。
とりあえず、俺らも探してみますか?」

〈…いや、そっちを手薄にすれば、いつ赤城が組引き連れて攻めてくるかわかんねぇからな。
春輝だって、明日俺らが赤城組に攻めること知ってるし大丈夫だろ〉

「…わかりました」

〈あぁ、悪かったな〉

「いえ。ではまた…」

通話終了を知らせる電子音が、虚しく耳の鼓膜を震わせる。
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