翼~開け放たれたドア~
グイッと突然引っ張られ、痛みに思考を強制的に遮断される。

「いっ…!」

後ろによろけてしまう。

「おい!てめぇ…!!」

「春輝を離せ!」

いち早く反応したのは龍也と空夜だった。

「あっ、ちょっ…お前何やってんだよ!!」

…なんだろう、どうしてだか雷だってわかる。

「え、あ、うわー…痛そう…」

「飛鳥?何のんきなこと言ってるの?
俺たちの大事なお姫様があんな風にされてるんだよ?普通怒るよね?」

「直、こいつには何言ってもバカなまんまだから止めとけば?
……やるだけ無駄無駄」

「お、秋人、こういう時だけはホント気があうな。
…あいつ、殴り倒してやりてぇよ。マジで」

「蓮、今はちょっと抑えとこうか?
春輝に何されるかわかんないから。
俺も今ちょっと衝動をこらえてるところだしね」

「「「直こえぇー…」」」

…ねぇ、私今すごい冷静になれた気がする。

なんなんだろう、ホント。

この状況でも飛鳥は飛鳥だし、直はもう目が冷たいし、秋人は飛鳥に対していつも通りだし、蓮はやっぱりめんどくさそうだし……。
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