翼~開け放たれたドア~
そんなことを考えていると

「……!」

頭に、手の感触。

見上げると、啓悟お兄ちゃんが初めて見せる優しい表情で、私の頭を撫でていた。

それが嬉しくて、少しだけ頬が緩む。

「……ごめん。ありがとな。
──春輝」

初めて、啓悟お兄ちゃんが私を呼んだ。

“私”を、呼んだ。

なんか、啓悟お兄ちゃんとは『初めて』なことばかりだな。

「……どういたしまして」

でも、それが思いのほかうれしいから、私も微笑んじゃうんだけど。
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