翼~開け放たれたドア~
「…春輝は強いさ」

声に振り向けば、雷さんと龍也さんがいつの間にか後ろにたっていた。

「……強いのが、当たり前なんだよ」

悲しげな雷さんのその声は小さかったけど、誰もしゃべらねぇこの空間になんでか響いた気がする。

「そういう環境で育ったんだよ、こいつは」

くわしくは俺からは言えねぇけど、と雷さんは付け足した。

「んでさ、頼みがあんだけど」

「理事長、改まってどしたー?」

飛鳥が面白そうに言った。

「雷?なに考えてる?」

「こいつらなら、大丈夫なんじゃねぇかと思ってさ」

雷さんが言う頼み。

それを聞いて、俺は頷いた。

「はぁ!?空夜本気か!?」

「秋人。いいんじゃない?別に」

「飛鳥はいいかもしんねぇけど…」

「俺はいいと思うよ」

「俺もいいぜ」

「直…連まで…」

「秋人、それでもだめか?」

俺は秋人をジッとみた。

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