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ジェネレーションギャップ

■ □ ■ □


季節は秋から冬に変わりゆく頃。
11月の最後の週末も彼と約束をした。

この日は待ち合わせじゃなくて、貴一さんが迎えに来てくれると言うので私は家の前で待機。


そして約束の時間より少し早めに貴一さんはやって来た。車に乗って。

それも、高そうなピッカピカの外車。いわゆるスポーツカーってやつだ。



(バブルか!!!!)

と、心の中でツッコミ入れてしまったのは、私がゆとり世代なせいなのか……。




「すごい車だね」

「気に入った?」

「うーん、どうだろ……」


苦笑いしかできない。

普通の女子高生の私には、正直車の良さとか凄さとかもよく分からないし。お金かかりそうとか、夢のないことばかりつい頭に思い浮かんでしまう。



(そもそも貴一さんこんなの持つ余裕あるのかなぁ……)


コーヒーショップのバイトを辞めてしまった貴一さんがその後なにをしているのか私は知らない。プー太郎かと思ってたけど、実はそうでもなさそうで……。

ただ、教えてくれる気配もないし、私も聞かないから謎のまま。


私のなかで古川貴一という男は、もっぱら『怪しいおじさん』だ。そしてそんな得体のしれない男に恋をした私は相当な馬鹿なのだろう。





「どこ行く?奈々ちゃんの行きたいとこ連れてくよ?」

「じゃあー、貴一さんち」

「僕のうち?」

「うん!」


助手席に座らせてもらったところで行きたいところと聞かれ、貴一さんの部屋に行きたいと答えた。この前陸に貴一さんの部屋にまた泊まったと聞いたせいなのかもしれない。



「女の子が男の一人暮らしの部屋に行きたがるってのは、おじさん感心しないなぁ」

そうへらりと笑う貴一さん。
お説教?貴一さんが言ってもまったく説得力がないのが残念。



「私の行きたいとこ連れてくって言った」

にこりと笑ってそう答えると、貴一さんは肩を竦めながら笑った。


「いいよ。悪いオオカミさんに食べられても知らないからね、男はオオカミなのよ」


「あ!それピンクレディー?うちの叔母さんも好きだよ」

「叔母さんって……」

「うちのママのお姉さん。ママはおニャン子世代なんだってー」

「え、もしかしてお母さん僕より歳下!? うわー、なにそれおじさんショック」

「だから、セーラー服を脱がさないで〜とかなら私もわかるよ」

「うわっ、そういうのやめて!ジェネレーションギャップ感じちゃうから!おじさんのライフはもうゼロよ!」



そんな会話をしながら貴一さんが車を発進させた。

どうやらおねだりは成功らしい。

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