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■ □ ■ □


その夜。

私はとある人に連絡をとった。


(お正月以来だけと、ちゃんと覚えててくれてる……よね?)

そんな不安を抱きながら、パソコンのSkypeの起動させる。向こうもオンラインのままだったので、すぐに私に応答してくれた。




『こんな時間に何の様……?』


パソコンの画面の向こうで、その人……那由多さんが実に迷惑そうな顔していた。


「お久しぶりですー」

一応は覚えててもらえてたみたい。
安心してへらりと笑ってそう返すと、じとっと訝しげな目で見られた。



『寝てたんだけど』

「うそっ、ごめんなさい……。あれ、でもそっちってもうお昼頃のはずじゃ……」

『今、日本に帰ってきてるから』

「あ。そうなんですか……」



貴一さんの弟の那由多さんは、現在イザベラさんのお店のNYの支店で洋服のデザイナーとして働いているらしい。

だから、NYとの時差に気を付けながら深夜に連絡をとってみたけど、日本にいるなんて思ってもみなくて完璧に裏目に出てしまった。



『で?何の様?』

「……それが。あたし、貴一さんに見事に振られましてですね……」

『はぁ?』

「……だから、あの時の約束。叶えて貰おうと思って……」


そこまで話して一呼吸を置く。

画面の向こう側では、いつもクールな那由多さんが動揺していて面白い。
そんな彼の反応も御構い無しに、私は深く深呼吸してこう言った。



「あたしを拾って下さいっ!!」




ごつん。

そんな鈍い音を立てて、那由さんの端末が床に落ちた。

画面の向こうは真っ暗になった……。


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