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割れたカップの片づけや床を綺麗にしていたらお昼休みの時間はすぐ終わってしまった。

先生が心配してくれて、午後の授業を休むかと聞いてくれたけれど、私は首を横に振った。



「失恋にかこつけて授業休むなんてダメだもんねー」

そうへらっと笑って、わざと生意気に言い返す。


(そうだ。今のあたしに休んでる暇なんてないんだ)

心のなかでそう自分に言い聞かせる。



「それにね、あたし頑張ろうって決めたの」

「頑張る?なにを?」

「それはまぁ……色々?

とにかく頑張って良い女になるんだー」


そう宣言する私に、先生は「やっぱ立ち直り早いな」と小さく笑った。



「無理はするなよ」

「うん!ありがと、先生。……あと、カップごめんなさい、ちゃんと新しいやつ用意するからねー!」


そう言って元気良く先生に手を降りながら保健室をあとにした。





(頑張るって決めたんだ……)


廊下を早歩きしながら心のなかで再びそう呟く。

貴一さんがいつ私のもとに戻ってきてもいいように。絶対、価値のある良い女になるんだと決めたんだ。


何年掛かったって良い。
報われなくたって良い。

私は貴一さんが好きなこの気持ちは一生変わらない自信があるから……。



(とりあえず、目下の目標は三学期の成績上げることっ!!)


小さな目標だけど。

これが今の、子どもの私に出来る精一杯のことだった。




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