優しい風の中で
ため息をつくのと、彼女の腕が絡んでくるのは同時だった。

「シンジ。好きだよ」
どうして君は、こうも簡単に言えるんだ。
さっきまでのイライラが、消えていく。

不思議だな。

君は風のように、僕の心を癒してくれる。


「ね、ひとつお願いがあるんだけど」

そう来ましたか。
彼女は僕の腕をつかんだまま、顔を見上げてきた。

「私の好きな花、貴方のカメラで撮って」
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