腹黒王子に囚われて
「もう、俺以外のやつに触れさせないで」
頬に手を重ね、
壊れ物を扱うかのように優しい言葉を吐く。
答えに戸惑って
「うん」って答えたくなった。
自分の体なんて
誰が触っても同じだと思ってた。
大事になんかしたくない。
大事にすればするほど、自分の心を壊してしまいそうだったから。
でも……
「葵……。
俺以外のやつと、もうキスするな」
「………うん…」
ようやく素直に言葉に出して
再び近づいてくる瑛太に、そっと瞳を閉じた。
キスが大事なものだと
今初めて知った。