腹黒王子に囚われて
15章 恐怖
 
「昨日はどうした?」
「え?」


いつもの帰り道、瑛太が横に並んで歩きながらふと訪ねてきた。


「電話したんだけど」
「あ……うん。お風呂入ってて……。
 そのまま携帯見ずに寝ちゃった」
「なんだ」


あたしの答えに、瑛太は少し呆れ気味に笑ってて
その嘘がうまくつけたんだとホッとした。


瑛太はもう
「今日寄っていい?」
なんて聞いてくることはなくて、
当たり前のように家に寄っていく。

あたしももうそれが普通になっていたし、とくに聞くこともなかった。



「そういえば昨日は何してたの?」


家に着いて、鞄をおろしながら瑛太に聞く。


「カラオケ」
「瑛太って歌うんだ……」
「まあね。とりあえず、今どきの歌はちゃんと勉強してるよ」
「へー……」


さすがだな、なんて思った。

あたしには絶対に出来ない。
 
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