涙雨[ナミダアメ]
奥の座席に座ると
隣にぴったりと座ったサユキママ。



「つーか、アンタ話があるんじゃないのかよ…」


「そんなカリカリしないで、サユキママジュースあげて。」


「は?ふざけんなや。
そこは酒だろうが!」


「ダメよ。
制服を来た子には出せないわ。」


「あっそ~」



ケチな店。



イラつきながら、
タバコに火をつけた。



カランカランと慣れた手つきで酒を作るサユキママ。


「麗夜くんは、高校何年生?」


「3年。」


「顔もいいし、彼女いるのかしら?」


「いない。今はね。
ま、そのうち彼女にするけど。」


挑発的に俺が笑うと
眉間にシワを寄せた。



「麗夜くん、キミは
俺の雫に随分な真似をしてくれたね。」


「あーデートのこと?
水着可愛かったわ~。
つか、だれだっけ?あの
家庭教師に来たやつ。
あんなやつに監視までさせるなんて、随分余裕ねえのな。」



「キミには警告したつもりだが、無視する気なんだね。
当たり前だろうが。
俺は雫ちゃんに本気なんだ。
アンタみたいに、好きな女に暴力振るうやつなんかに任せてたまるかっつうんだ!」



「あくまでも雫を
俺の雫を奪う気なんだね?」



「ああ。」



お互いにらみ合い、
異様な雰囲気だった。



「秀、ダメよ。
可愛い子なんだからいじめちゃ。」


「わかるっているよ。
サユキママ。
ただ、俺に歯向かうやつは罰をくださなきゃならないんだよ。」



罰…?



口角をあげ、不適に笑う。


イラつく。



「あ~マジでイラつく。
アンタのせいで、雫ちゃんがおかしくなったんだよ!」



怒りまかせにガラステーブルを蹴り飛ばした。


「ちょっと!」


「テメエのその手で
雫ちゃんを殴って、傷つけて…アンタが壊したんだよ!」


胸ぐらをつかみ、
暴力が嫌いな俺が殴った。




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