涙雨[ナミダアメ]

好きかも…

あれから、俺は胸がチクチクするばかりだ。


「雫ちゃん~雫ちゃん~」


「アンタさっきから何なの!?うわ言のように。」



「お母しゃーん、胸が痛いよ~雫ちゃんのことを考えると胸が痛い~」


「何言ってんのよ。
ほら、京野先生くるわよ!」


今日は雫ちゃんの日。


しばらくしてインターフォンが鳴った。


胸がチクチクすると思ったら、今度はドキドキしてきた。


俺は心臓に問題があるのか?


玄関に行けば、
眼鏡にスーツといういつもの格好の雫ちゃんがいた。


ん?


頭に絆創膏がしてある。


ふとよぎったひなことの会話…


まさかDVされてるとかないよな。


「雫ちゃん、絆創膏どしたの?」


会ってそうそう聞くのも
どうかと思ったけれど、
心配になって聞いてみた。


すると、

「へへッッ。
私、どじだからぶつけちゃったんだ。」


また下手くそな笑顔を浮かべて言った。



何でそんな泣きそうなの…


何でこんなに胸がしめつけられるの?


嫌な予感がよぎる。


けれど、今はあえて聞かなかった。



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