ヴァニタス
「楽しみだね」

笑うと細くなる目と、クシャッとなる目尻のしわも好き。

「私も楽しみです」

「果南ちゃんと同じことを思っているんだと思うと嬉しいよ」

彼から漂う油絵の具の匂いも好き。

絵に一生懸命なところも。

少し涙もろいところも。

それをひっくるめて、武藤さんが全部好き。

「果南ちゃん、そろそろご飯にしようか?

数日ぶりに果南ちゃんの料理が食べたい」

武藤さんが言った。

私が傷だらけのこの数日間のご飯は武藤さんが作っていたのだ。
< 128 / 350 >

この作品をシェア

pagetop