ヴァニタス
「――えっ、あの…!」

私は武藤さんの腕に向かって手を伸ばすと、彼を引き止めた。

「――私、武藤さんに抱かれたいです…」

自分でも恥ずかしいことを言っていることがわかった。

だけど…好きな人に抱かれたいと思うのは、誰だって願うことでしょう?

「果南ちゃん、無理しなくても…」

「無理なんかじゃありません」

私は首を横に振った。

「私は本当に、武藤さんに抱かれたいと思っています…。

あなたとの間に子供が欲しいって思っています…」

好きな人に抱かれて、好きな人の子供が欲しい――私のわがままかも知れないけど、私はそう願っている。
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