ヴァニタス
今から、私は武藤さんに抱かれるんだ――そう思うと、私の心臓がドキドキと早鐘を打ち始めた。

私は武藤さんが好きだから彼に抱かれて、武藤さんも私が好きだから私を抱く。

私は口を開くと、
「武藤さんが好きだから、武藤さんに抱かれる覚悟はできています」
と、武藤さんに言った。

「途中で“やめて”って言っても、俺は本当にやめないからね?」

確認をするように言った武藤さんに、
「はい」

私は首を横に振ってうなずいた後、
「でも、1つだけ…」
と、言った。

武藤さんは不思議そうな顔で首を傾げた。

「その…」

私はバスタオルを持っている手をギュッと握りしめた。

「――私は、その…初めてなので、えっと…」

私は落ち着かせるように呼吸をすると、
「――優しく、してください…」
と、言った。
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