スイートナイト
「おい、静希…」

何か言いたそうな優に背中を向けると、逃げるように寝室へ向かった。

バタン!

近所迷惑かと思うくらいの大きな音を立てて、寝室のドアを閉めた。

ベッドに潜り込むと、頭からふとんをかぶった。

何よ、えらそうに言い訳なんかしちゃって!

どうせ、その“セリナ”って言う名前の女と一緒に私のことをバカにして笑っていたんでしょ!?

ジャケットについたその甘い匂いは、“セリナ”って言う女に移されたんでしょ!?

優に肩をさわられた時、嫌悪を感じた。

彼に私の躰をさわられたくないって思った。

私と優の夫婦関係は、もう本当に潮時なのかも知れない。

明日優に離婚の話を切り出そうと決意すると、私は眠りについた。
< 104 / 186 >

この作品をシェア

pagetop