スイートナイト
慌てる私だったけど、我に返る。

…そうだ。

きっと、何かの記念日だから今日店にこいみたいな、そんな電話なんだよ。

それで私にお金を貢がせて、自分の売上に…って言う、そう言う魂胆なんだ。

「バカバカしい…」

私は一体何を期待していたんだ。

今日は忙しいからこないって、今から巽くんに電話して伝えなきゃ。

そう思った私は画面をタップすると、巽くんに電話をかけた。

「もしもし?」

「私です、静希です」

「ああ、静希さん」

電話越しの巽くんの声に、私は自分の心臓がドキッ…と鳴ったのがわかった。

そう言えば、声を聞くのは久しぶりだ。
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