あたし、猫かぶってます。
あたし、と奏多。


結衣side


 あの日から、早瀬とのよく分からない関係も続行中で、奏多の彼女という知らない人から見たら2人をキープしているみたいな状態のあたし。

 そのせいか、完璧結衣ちゃんを演じるのに支障も出てきている。まあ、仕方ないっていえば仕方ないんだけど。

 正直、人を信じれるようになったとは言え、良い人になった訳じゃないから、ムカつくことはムカつくし、嫌いな人は嫌い。


 「結衣ちゃんって意外とタラシ?」


 「あー、可愛いからね。」

 女子ってなんで悪口好きなんだろ。別に知りたくもないけど。


 タラシだよって言えば満足してくれるのかな。天然結衣ちゃんはそんな怖いこと言わないけど。可愛いだけで寄ってくるようなバカ男なら、こんなに悩まないってば。


 「私、奏多くん狙ってたんだけど!」


 「早瀬くんで我慢しろよってね!」

 我慢ってなに、我慢って。てかあたし寝てるって思ってるだろうけど、突っ伏しているだけでバッチリ聞こえてるからね。


 私とこの性格ブサイク2人と読書している地味系女子しか居ない教室。そりゃあ悪口言い放題だよね。いつも守ってくれる男子はもちろん、知奈ちゃんも居ないし。



 「まじ結衣ちゃんむかつく!きもい!」

 あなたの性格もね。てか、きもくないし。可愛いし。



 「ーーーねえ。」

 寝たふりを続けていると、怒りを含んだ低い声が聞こえて、クラスの男子だと推測。ちょっと、ざまあみろって思った。ごめんねこんな性格で。


 「人の彼女の悪口、あんまり大きな声で言わないでよ。」


 いや、待って、男子じゃない。ーーー奏多だ。



 なんで奏多?今日は委員会あるはずなのに、終わるの早過ぎでしょ。いつもは1時間弱かかるのに、なんで?


 「大体、俺が好きな子の悪口を平気で言うような人に好かれても嬉しくないし。」



 その言葉に、動揺。悪口言われてる私は自業自得だけど、そんな言い方すると奏多まで悪口言われちゃうんだよ?いつもみたいに優しくない奏多。

 なんでそんなに、怒ってるの?


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