ここに在らず。


「え?」

「だから、名前。人に覚えられて呼ばれるの、俺は嬉しいと思うんだよ。あんたは思わないの?」


そう問いかけられた言葉に、私は自分の名前を呼ばれる場面を自然と想像する。


ーー『サエ 』


ポッと心に何かが灯る。なんだか擽ったいような気もするそれは、柔らかく甘い感覚。


『サエ』


その声にーードクンと、心臓が返事をした。



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