ここに在らず。


それから二人で向かったのは、雑貨屋さんだった。あ、可愛い…と思って目で追っていると、トウマさんはすぐさまそれに気づいて、「入ろう」と私の手を引いてくれたのだ。

…けれど、店内に入ってみてはしたものの、最初はどうやって見れば良いのか、どう立ち回れば良いものなのかがさっぱり分からなくて戸惑ってしまい、おどおどとトウマさんについて歩くだけだった。

……そう、ついて歩くだけだった、はずなのに…最終的には、そこで私はタオルやらスリッパやらお茶碗やらお箸やら…兎に角本当に生活用品中の生活用品である、欲しいものを全て手にいれていた。

しかも…トウマさんの、お金で。


「本当に、本当にすみませんでした…っ」


まさか、まさかお財布を家に忘れて来るなんて…っ‼︎

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