ROMANTICA~ロマンチカ~
何て、嫌な人間だろう。


きっと涼輔さん、内心では呆れているだろうな。


怒っているかもしれない。
 

パーティからの帰りの車の中でも、涼輔さんの顔をまともに見ることができなかった。

怒っていたからじゃない。

恥ずかしかったし、怖かった。

初めて会った時みたいに、冷たい目で見られたらどうしようって。



いや、ホテルの部屋で介抱してもらった時には、すでにかなり冷たい目で見られていたぞ。
 


翌日から、三十八度の熱を出し、三日ほど寝こんでしまったあたし。
 


「バカは風邪を引かないとかいう、あれは迷信だな」
 


涼輔さんから言われても、何も言い返すことのできなかったあたしは、やはり、バカなのだろう。
 


あれから一週間。
 


風邪はすっかり良くなったが、涼輔さんは会社が忙しいのか、朝早くから出かけて夜中過ぎまで帰ってこない。
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