ROMANTICA~ロマンチカ~
涼輔さんと一緒に過ごすクリスマス、メチャクチャ楽しみだった。

だけど、今、俊夫さんは交通事故にあって、酷い怪我をしている。

友達や知り合いが大して多くはいないであろう、遠い土地の病院で、酷い出血で苦しんでいる。

おじ様は、どれだけ俊夫さんのことが心配だろう。

どれだけ、心が痛いことだろう。

たった二人きりの家族なのに。
 
俊夫さんもおじ様も、あたしが一番辛かった時、苦しかった時にそばにいてくれた人たちだ。
 

あたしごときがしゃしゃり出たところで、大した助けにはならないかもしれない。

だけど、あたしは二人の力になりたかった。
 

劇場の前で、うまくタクシーを捕まえることができた。    
 

「羽田まで!」
 

おじ様が、まだ蒼い顔をしたまま、運転する中年男性に告げた。
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