ROMANTICA~ロマンチカ~
あたしの上から身を離す。
 
冷たいコンクリートの床の上にあたしは転がされていた。

機械が色々あって、角材がそこいら中に雑然と放置されている。

材木処理工場みたいだが、機械には結構ホコリが積もっていたりして、稼動中ではなさそう。
 

手が動かないと思っていたら、後ろ手に縛られていた。

ダクトテープがぐるぐる巻きに巻かれている。
 
持っていたハンドバッグが床に転がり、中から携帯電話がはみ出ていた。
 

「冗談、きついよ」
 

あたしの言葉に理恵子さんは吐き捨てた。
 

「何も知らずに死んでくれればそれでいいと思ったけどね。

冥土の土産に話してあげる。

あんたには、自殺してもらうから。

自殺の原因は、四人の男に輪姦されたことを苦にして。そりゃ、死にたくもなるわよね?」
 

富沢のおじ様は、そこにいるのに何も言わなかった。
< 221 / 369 >

この作品をシェア

pagetop