ROMANTICA~ロマンチカ~
「ふん、人質の言いなりにはならないというわけか。

それじゃ、こうしよう。

都季が苦しそうだ。猿ぐつわくらい外してやってくれ」
 


「仕方ないね。

金ヅルには逆らえない。後でうるさいって言ったって、責任は取らないからね」
 
旗丸理恵子が、あたしの猿ぐつわを外すようにと、靖男にアゴをしゃくった。
 


その間もあたしはずっと、うつむき加減だった。
 

うつむいて、怒りに打ち震えていた。



こういう時に、白馬とか黒馬とかロバとかブタに乗ってやって来る騎士によって助けられるのが当然と思っているような、物語のお姫様があたしは大嫌いだ。


自分で自分を助けることができないような人間があたしは嫌いだった。


そして今のあたしは、自分で自分を助けることができない腰抜けだった。


許せなかった。
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