ROMANTICA~ロマンチカ~
ブランチをすませると、ヤナギヤはフラリと散歩にでかけた。




日課だし、この事務所はいつだって閑古鳥が鳴いているからだ。


 
散歩から帰ってきたヤナギヤの腕の中には、都季嬢が抱きかかえられていた。

 
まるで、お人形のように。

 
お人形は、ヤナギヤの腕から降り立つと言った。

 
「どうもありがとうございました。だけど、あたしここまでだって自分で歩いて来れたわ」
 


万華鏡のようにクルクルと表情を変える大きな目。

心持ちツンと上を向いた可愛らしい鼻、やや大き目のキュートな口。


 
今時の若い女の子には珍しくノーメイクだったが、それでも十二分に彼女は魅力的だった。


エロオヤジの欲望を刺激するのには十分過ぎるほどに。
 

勝気そうな瞳の奥には、傷つき、追い詰められた獣を思わせる危うさがあった。
でも、それがことさらにオヤジ心をそそる……


こんなことを考えているうちに、僕までオヤジ化しそうだ。
 

少女ではない、だが女にはなりきっていない。

それが彼女に対する僕の第一印象だった。
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