ROMANTICA~ロマンチカ~
夕食の後、

食堂や広間にいてもお手伝いさんたちがたくさんいて、

何となく居心地が悪いので自分の部屋に引っ込んだ。



もともとあたしは、メイドさんがいるような暮らしをしたことはない。



ママが経営していたIT関連の会社は順調で、経済的に恵まれてはいた。

でも、世間一般と比べてそれほど贅沢な暮らしをしてきたわけではなかった。



学校は小学校から高校までずっと公立だったし、通学には電車やバスを使い、タクシーには滅多に乗らない。



食事だって中学くらいからはあたしが自炊してママを養ってあげてきた。

洗濯も可能な限り家で洗った。

掃除はママもあたしも苦手だったから、クリーニング・サービスを利用したことがあるけれど、散らかっている方が落ちつくので、部屋がカオスになるのにまかせてきた。



贅沢と言ったら、高い月謝の塾に行かせてもらっていたことと、今私立大学に通わせてもらっていること。

後はせいぜい年に一度か二度海外旅行に行くくらいのものだ。
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