年下の不良くん《番外編》
「みんな変わらずで安心した」
「久しぶりだったもんね」
翔くんが仕事の時に、私が実家にちょこちょこと戻るので、翔くんにしたら数週間ぶりの芦田家との対面だった
まだ小さい子供の育児や家事の為に、私は海鈴を身籠った頃に保育士を辞めた
私が保育士を辞めて、空きが出来れば直ぐに新しい人がその穴埋めをできるが、子供二人の母親の空きを埋めれるのは、私以外誰もいない
悩んだ末に出した答えを、翔くんや実家の両親は快く了承してくれた
その事をふまえて父は余計に、私たち家族を心配して沢山の物を送ってくるのだろう
「弟は忙しそうだな」
「お父さんが引退するからしょうがないよ
でもきっと、鴻佑くんならもっと会社を良くしてくれると思うんだ」
「俺も」
翔くんはそう言って、また少しだけ二人の距離を縮めて、私と海鈴を包み込むように抱き締めた
何年経っても変わらない、安心する彼の腕の中
結婚して子供を授かり、付き合っていた時よりも困難な事もあったけど、翔くんとだから乗り越えられてきた
これから先もいろいろあるだろうけど、翔くんと、そして二人の子供達となら大丈夫
私ももっともっと妻として翔くんを、そして母親として子供を、支えていけるようになりたい
「翔くん、大好きだよ」
「俺は愛してる」
暗くて翔くんの顔は見れないけれど、きっと彼も私と同じように微笑んでると思うんだ
───終───