年下の不良くん《番外編》
「お、優美だ
…優美ー!!りりかちゃーん!!」
前方から仲良く歩いてくる二人を発見した武蔵は、周囲の目も気にせずに大声で呼んだ
「馬鹿かお前
場をわきまえろよ…」
本当に、こいつといると恥をかく一方だ…
おら見ろ、優美ちゃんだって嫌そうな顔してんだろ
「ちょっと止めてよ!!
こんなにいっぱい人がいるんだから!!」
早速怒られてやんの〜、ばーか
「えー、別にいいじゃーん」
「よくないっ!!
こっちが恥ずかしいから!!」
「ふふっ、武蔵くんって面白いよね」
二人の会話を聞きながら、目の前にいる愛しい彼女は、肩を揺らしてくすくすと笑う
もうその姿さえも、胸がきゅんと締め付けられる
「りりか、あんま褒めるとこいつ調子こくぞ」
「でも本当の事だよ??」
首を傾げて自然と出る上目遣いに、俺の理性がいつも保たれてることに感心する
りりかは、んな事も知らずにまだ俺を見上げてきていて、俺はもう我慢の限界だ
俺の周りに寄ってくる女は意識してやっているが、りりかの場合、素でやってくるから質が悪い
「あ、清水くん
今日バイトだから遅くなるね」
そうか、彼女は今日はバイトか
ならば一人じゃ寂しいから、兄貴のとこでも小遣い稼ぎにでも行こう
ちょうどあこはいつも人手がたんねぇからな
「ん、わかった
帰るときに連絡しろ
迎に行くから」
兄貴の店は割とすぐに閉まるから、送りにはあまり行けないが、迎えに行くことなら可能だ
「うん、ありがとう」
そう言って微笑んだりりかの顔を見れただけで、午後の授業が頑張れそうだ
まぁ、男って基本は単純な生き物なんです