歪み

「…少しだけだよ。
大丈夫、別に信じてないから」

必死に冷静を装って答えた。
けど、上手く笑えている自信がない。

「ならさ、何で真柚に言わないの?
何でも話すんじゃないの?
幼馴染み何でしょ」

「紅梨?」


…全然わからない。
紅梨は何を抱えていて、
何を考えているんだ。
一体どうして真柚と居るんだ。

「教えてよ、何で真柚は…
真柚は誰に対してもあんなに綺麗に笑えるの。
好きな人が真柚の事好きだったとか
そんな理不尽な理由で文句言われても、
振られた腹いせでストーカーされても、
許していられるの。
うちは…許せないよ、そんなの。
ふざけんなって言わなきゃ気が済まない」

…知らなかった。
真柚がそんな目に遭ってるなんて。


「拓もだよ。
拓にとって真柚は1番大切な人でしょ?
こんな嫌われ者のうちと真柚が
一緒にいていいわけ?
真柚に噂の事言って
うちから離れさせればいいじゃん。
何で何も知らないふりで
うちと接したりするんだよっ」

そんな、そんな俺は良い奴じゃない。
今まで何度も紅梨の事疑った。
けど、真柚が選んだ相手だから
俺がとやかく言う筋合いないだけだ。
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