歪み

「紅梨ね、あたしの引き立て役とか
拓に媚売ってるとか、
根も葉もない噂を言われてた。
あたし、最低だよね。
親友とか言って紅梨を傷付けてたのは
あたしだった」


帰り道いつも喋らない真柚が珍しく話した。
そうやっていつも他人のことばかり。
一人で抱え込んで自分を責める。

「真柚、俺紅梨が真柚を恨んでいるようには
見えないよ。
きっと何か理由があるんだって。
話してくれるまで待とうよ」

…綺麗事だって、わかってる。
けど他に何て言えばいい?
紅梨、何で何も言わないんだよ。
わからないって決め付けるなよ。


紅梨のしたかった事はこんなことじゃないだろ。

「…もう戻れないんだよ。
あたし達。

こんなに、こんなに
歪んでしまったもの」

涙を溜めて小さな声で呟いた。
その壊れそうな身体を抱きしめられればいいのに。

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