キケンなアイツとの生活
「あー、お義兄さんと水族館?しかも制服で?」
「きゅ、急に決まったの。蒼甫も…デート…?」
「そ。ずっと行きたいって言ってたんだよな?」


蒼甫が彼女のことを愛おしそうに見つめると、彼女は照れながらコクンと小さく頷いた。


あー、なんか分かるかも。こういう守ってあげたくなるような子がカワイイっていうのが。


「あ、紹介するよ。オレのトナリに住んでて、幼なじみの愛梨。で、彼女の夏紀(なつき)。で、夏紀。愛梨のトナリにいるのが、愛梨のお義兄さん」


勝手に紹介を始めてしまった蒼甫。夏紀さんは、わたしと冬弥さんに頭を下げるとニコリと笑った。その顔を見て、冬弥さんを見る。……よかった、これでココロ奪われてたらどうしようと思ったけど冬弥さん、普通にしてる。


もう早く二人から逃れたいと思っていたのに、冬弥さんはとんでもない爆弾を落とした。


「蒼甫くんだっけ。オレもう愛梨のお義兄さんじゃないから」
「え?どういうこと、ですか…?」
「ちょっと待って冬弥さん!」
「なに、言っちゃダメなの?言われたくないことでもあるの?」
「それはっ、ないけど……」
「なら、いいじゃん」


と、冬弥さんはクスッと笑う。蒼甫は首を傾げて、よく分からないという顔をした。


「オレたち、付き合ってんの」
「えっ?!愛梨、ホント…?」
「……うん」


わたしが頷くと、蒼甫は口元に手を当てて、かなり驚いているように見えた。


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