キケンなアイツとの生活
「冬弥さん、眠いの…?」
「………」
「寝ちゃったの?」
「あぁ、寝た」
「嘘つき!」


わたしが、キィ!となると、冬弥さんは起き上がりクスクスと笑う。


「やっぱりオレは、そういう愛梨が好きだよ」
「えっ?」
「怒ったり、笑ったりしてる愛梨が好き」
「………」


そんなマジメなトーンで言われると、こちらもマジになっちゃうよ…。


「愛梨、なにもしないから、おいで」
「…うん」


ベッドの上から手招きをする冬弥さんに近付くと、股の間にわたしを座らせ、そして後ろからフワッと冬弥さんの香りに包まれる。


「抱きしめるのは、いいだろ?」
「うん…」


そして、その体勢のまま冬弥さんは話し始めた。


「なんかさ、無性に腹が立ったんだ」
「え…?」
「愛梨はずっと好きだったっていうのに、呑気に彼女の紹介までしてきて。挙げ句の果てに、オレと付き合ってる愛梨の心配までしてきやがって」


冬弥さんが話し始めたのは、水族館でのことだった。蒼甫のこと…。


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