マリア様!



これ以上こいつといたら、優等生の私の株が落ちてしまう。

マリア様は容姿だけでなく、学力においても身体能力においても完璧でありたいの。

その人生プランを、こんな奴に邪魔されてたまるものですか。



「じゃあ、俺も戻ろっかな」

歩き出した私の後ろを、ひろも追うようにしてついてくる。



「ちょっと!時間おいてから来なさいよね!」

「なんで」

「なんでって…、あなた馬鹿?たとえ授業中であったとしても、私たち2人が堂々とこうして廊下を歩いてみなさいよ。注目の的になるでしょうが」

「えっ、別に良くね?」

「な…っ!」



なんて人なの。

私の気も知らないで。

こいつと一緒にいたら、本当にマリア様の株が落ちそうで怖いわ。



「あ、そうだ」

教室に向かって廊下をひたすら歩いていると、突然ひろがそう言って立ち止まった。

「…?なによ」

つられて、私も歩みを止める。

すると彼は怪しげにニコッと微笑み…



「携帯、かして」

当たり前のように、私に手を差し出してきた。


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