泪
「船幽霊ですよ」
「………聞いたことはあるが、あれは水を汲むだけだろう?……あ、いやそうか…そういうことか」
「そう。汲むだけじゃなく、汲み出すことも可能でしょう。最近の、現代の知識を持った幽霊なら」
左舷のバランスタンク内に水がないなら、反対側のバランスタンクが重くなって船が右に横転した。
そして、逆に右舷のバランスタンクに水を大量に入られられば、船は沈む。
「待つ、とは言ったが、さすがに危険になったらすぐ逃げるぞ。………早くしろ雪村」