Doll


その日の夜から
ぼくは アイにどっぷり嵌まっていった。

しわだらけのシングルベッドの上に座りながらぼくは隣で寝るアイの髪を撫でる。


「・・・・アイ、やっぱりハニーって呼ぶことにしたよ、君のこと。」

「・・・・。」

「嫌?」

「・・・・・・・・。」


ハニーは首を横に振り、小さくぼくの手の甲に口付けをした。




ハニー

ハニー

ぼくのハニー

聞いておくれ。


ぼくはこの世に
さほど興味はないのだが
ただひとり、好奇心を
そそられる奴がいる

   ピンクの髪
      白い腕
 薄い唇
     長いまつ毛

ぼくの、Honey


もう 世界がこのまま
終わったってぼくは何も後悔しないだろう。


ねえ ハニー


君を今まで捨ててきた男たちの気が知れないよ。
ぼくはきっと 君を守る。






―…だが その夜もまた
ぼくは あの夢にうなされることと、なる。
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