俺と後輩と怪談と。


俺はちょっと嫌な予感がして、身体ごと彼に向き直った。


「何が、ついてるって?」
「生(セイ)を持たぬモノ。正確には生を失ってしまったモノ。……幽霊って言った方が分かりやすいですか?」


俺はげんなりと頭を抱えた。


“またか”と。


「……お前、見えるの?」
「ええ、まぁ」



後輩はドアから背を離すと、後ろの席に腰掛けた。



「これは、また……随分と気に入られたようで。先輩の背中に張りつくように憑いてますね。」



面白そうに笑われて、俺は小さく溜息を吐いた。



「…幽霊に気に入られたってな。嬉しくないんだよ」


そうですね、と彼は苦笑した。


幼い頃から、何故かは分からないけれど人でないモノに好かれやすかった。

これは生まれ持ってしまった体質で、自分ではどうしようも出来ないから、そのうち諦めた。


というよりは慣れた、の方が正しい気もする。


だからいきなり“憑かれている”と言われても、慌てたりはしない。



「祓ってあげましょうか?」



< 2 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop