My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ


俺の姿をまるで子供の様に見つめる彼女

大きな瞳が、今か今かと俺の言葉を待っている




その姿に微笑みながら、以前グレイスに連れて行ってもらった市場を思い出す

美しい景色の中に飛び交う、明るい声

笑顔に溢れた、民――




「活気に溢れた、いい国だ」




そう言った瞬間、ソフィアが嬉しそうに微笑む

そうか。と何度も言った後、空を見上げた




「皆、レイア姫の為だと言っていた」

「――え?」




小さくそう呟いた俺の言葉に驚いた様に、視線を俺に戻すソフィア

その瞳が一度大きく開かれて

そして、ゆっくりと細められた


< 261 / 304 >

この作品をシェア

pagetop