144のカウントダウン

「わ・・・わたしっ!」

カノちゃんの緊張した声が聞こえてくる。
緊迫な空気に包まれてゆく。
光は真剣な顔つきで、2人を見ていた。

静かだ――。

「理央くんのコトが好きなの!」

アタシは光の顔を見れなかった。

「付き合ってほしいの!」

理央の答えを知っていて、見守るのは辛かった。

「嬉しいけど。ゴメン。」

理央の答えはあっさりで。アタシだったら泣いてしまうかもしれない。
けど、カノちゃんの顔は以外にも冷静そうだった。

「実は・・・。」

カノちゃんがなにか言いかけた・・・・その時

「花音!」

光が2人の元へ走って行った。
予想外、だった。

作戦上では、光が花音に告白する。
でも、これって。

どうなの?

「ちょ・・・!ひかるっ!?」

理央は驚いていた。
演技なのか、本当に驚いているか。よくわからない。

「光くん・・・。」

アタシは悟った。
これでは2人が付き合うコトが難しくなるのではないか?
この告白シーンを見られた後で、カノちゃんが光に告るわけがない。
作戦は、失敗なの・・・?

「花音!ちょっと・・・こい!」

光は強引に花音ちゃんを引っ張っていく。
理央はアタシに『出てくんな。』と、目で伝えている。

「ちょっと、光くん!なに??」

2人は去っていく。アタシは立ち尽くす。
冷静なのは理央だけだ。

「り・・・お・・・?」

どうしよう。と言いたかったけど。伝わればいいやと、目を見た。

「大丈夫。俺らはもう帰るぞ。」

え・・・?帰る?なに言ってんの。こいつ。

「2人の会話は聞けるから。」

「え、盗聴器でも仕掛けたの?」

「・・・まあな。光に。」

え。いつ???

「とにかく帰る。ここにいたら、逆にマズイ。」

「言っている意味がよくわからないんですけど。」

理央は説明がメンドクサイ。とゆう顔だ。

「説明はとりあえずあと。それより、花音と光の会話のほうが重要じゃね?」

「う、うん。」

理央が手にしているのは、小型のスピーカ。
理央が音量を調節していくと、少しずつ会話が聞こえてきた。

ジジ…ジ…ジジジ……ドウシ…ノ?ヒカ…ジ…

時折、雑音がまじる・・・。

=花音と光の会話=

「どうしたの?光君。」

「あのさ。花音。」

「なに?」

「オレさ。花音が好きなんだ。」

「え・・・。」

「花音のこと、ズット好きなんだ。」

「ずっと?」

「ずぅーっと前から。」

「5歳のころから・・・?」

「うん。今も好き。」

「私も。光君が好きだったの。」

「だった・・・?」

「幼馴染で、いつも一緒で、好きだった。」

「そ?」

「うん。でも、サクちゃんと、理央くんに会って、仲良しになって・・・。」

「理央に気が変わったってワケか・・・。」

「・・・。ゴメンね。光君。」

「謝んなよ。いつまでも告れなかったオレがダメだったわけだし――。」

「光君こそ、なにも悪くないじゃない。」

「気が変わるのは人間として当たり前だから。」

「え・・・。」

「攻めてるわけじゃないから。謝んなって。」

「う・・・ん。」

「花音って、オレのこと嫌い?」

「ううん。」

「好き?」

「・・・。」

「ははっ、変なこと聞いて、ゴメンな。」

「ぜっ、ぜんぜん!!」

「じゃあ、もう1個。聞いていい?」

「う・・・うん!」

「今、オレが『付き合おう。』って言ったら付き合ってくれる?」
                  
                        
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