Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩

☩02☩災い転じて転がりまくり☩





☩ ☩ ☩


「どうぞ。上がって下さーい。」


今日は、一週間安静を言い渡され入院を余儀なくされた悠里がようやくお家に帰ってきた日。

実は悠里が家に帰る事にも久寿軒さんと一悶着あって…

イイ歳した姉弟が一緒に住んでいるなんて不自然だって。

だけどそこは私も譲れなかった。

例え夫婦や恋人関係じゃなくなっても、やっぱりまだ悠里と離れるなんて嫌だ。

いつか悠里が私じゃない他の誰かを選んで私の元を去るのだとしても、今はもう少しだけこのまま、傍に居たいの。

自分の立場を弁えるから、と説得して久寿軒さんに渋々ながらも悠里と一緒に住む事を認めてもらえたんだ。

流石に骨折までは治らず依然松葉杖の悠里を気遣って須藤君と木戸さんが私と共に退院に付き添ってくれた。

そのお礼と退院祝いを兼ねて、今夜は家で夕食を食べる。

えっへっへ~。

食材は二人からの差し入れで、お肉なんかちょっとお高いんだから。

嬉しい♪

記憶のナイ悠里にとって初めてくる場所と言っても過言ではなく、物珍しそうにきょろきょろと辺りを見回している。

そんな悠里にちょっと悲しくなりつつも、勤めて元気に須藤君と木戸さんにスリッパをお出しして、支度の為にリビングへ舞い戻った。





だからその後の玄関のやり取りを私が知る由もなく―――……

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