Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩

「あ、あの…もうすぐ一カ月終わっちゃいますね。」

「ああ。そうだな。販売の経験も楽しかったし、ここの雰囲気も好きだったから楽しかったよ。」


私も楽しかったです。
木戸さんとお仕事出来て。
木戸さんの傍にいられて。

…楽しいばっかじゃなかったけど。

でもそう言えば、アレからあのアパレルの子見てナイな…。

ぼんやりそんな事を考えていた所為で木戸さんが何か言った言葉を聞き逃した。


「え?…今なんて…」


聞き返そうと思って木戸さんの方へ視線を向けて、どきっと飛び跳ねた。

だって木戸さんがこっちを見ていたから。

真面目な顔にちょっとダケ笑顔を貼りつけて「ん。だから」と木戸さんが言葉を改めた。


「最初から俺の販売研修の間に決着付けようとは思ってたんだが…ああいうコトされると逆に燃える性質なんだよな、俺。」

「…はぁ。」


意味が分からず目をぱちぱちさせながら間抜けな相槌を打つ。


「もうすぐ研修も終わって毎日来られなくはなるけど、管轄マネだからちょくちょく顔は出すし、家もこの近くだから遠距離ってワケじゃない。」

「…はぁ」

「基本本社社員だから、いずれは戻る事になるが、一先ず二、三年はコッチにいると思う。まぁ、その二、三年の間に口説き落とすつもりではいたワケだが」

「…はぁ」


私の気のナイ相槌に木戸さんが苦笑いする。


「…柏木、俺の言ってる事をまるで理解してないだろう。」

「え?分かってますよ?」

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