Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
☩side story☩06☩

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☩愛式人形☩

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所は『ASTRO』

時は昼休み。

ランチを終えた悠里と須藤は巨大な窓から降り注ぐ陽を浴びてのんびりと時を過ごしていた。

そこへ鳴り響く着信音―――は、余韻も残さず悠里が神業のような早さで出た。


「どうしたの姉さん。姉さんから勤務中に電話くれるなんて珍しいね。」


どうやら相手は美久らしい。

でれでれした王子様の顔に須藤は若干呆れるものの静かにコーヒーを啜っていた。


「え?出張?へぇ…二泊三日の研修…………。偶然ですねっ。僕も明日から出張なんです♪ついでに観光しませんか?」


ブ―――――ッ!!

聞こえてきた会話に須藤は呑みかけていたコーヒーを噴き出す。


「ちょ、オマ、何言ってんだ!!ちょっと貸せ!!」

「あ゛、何するんですか、返して下さい」


騒ぐ男を力付くで押しやって、須藤は慌てて悠里から携帯を取りあげる。


「おい、須藤だ。」

『あ。須藤君?こんちには。いつも悠里がお世話に―――』


相変わらず呑気なネーチャンだが、今は後ろの王子様の存在があるためゆっくり挨拶に付き合ってる場合でもなく、早速用件を言う。


「コイツの出張なんて真っ赤な嘘だから鵜呑みにしてくれるなよっ?」

『え?あぁ~そうだとは思ってたよ。分かってるよ須藤君。』


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