Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩


「麗那…さん……?」


麗那さんは早番で、夕方前には仕事を上がって…。

これは偶然?

それとも…待ち合わせして?

二人で会う程、二人ともいつの間にそんなに仲良くなったの?

悠里も麗那さんもそんな事一言も言わなかったのに。


…ううん。

二人が会ってたからって、付き合うことになったからって、別に反対する理由なんてナイ。

だって悠里は自慢の弟だし、麗那さんは綺麗だししっかりしてるしステキな人だもん。

二人並んで歩く姿は美男美女でとってもお似合い。


ずきっと胸が痛くなる。

なのに何でこんなにショックを受けてるの。


足元も覚束なくなってよろよろと近くのベンチに腰を下ろした。

落ちつけ…落ちついて、私。

悠里は……

イケメンだし優しいし、何でも出来るし、昔からよくモテた。

女の子達なんて“王子様”とか言ってきゃーきゃー騒いでたし、しっかりしてるから男子にも頼りにされたりしてとにかく人気者だった。

だけど何かってときには“お姉ちゃん”を優先してくれて…。

だからずっと悠里には特別な子なんていなかった。

ずっとずっと悠里の一番近い所にいるのは私なんだと思ってた。

その場所が誰かに取られちゃうって気付いて…だから私はこんなに動揺してるの、かな?

しっかりしなきゃ。

私、悠里のお姉ちゃんなんだから。

悠里に好きな子が出来たなら、その子を大切に出来るように、私はちゃんと弟離れしてあげなきゃ。

いつもまでも悠里と一緒にいちゃダメだ。


―――悠里の好きな子……


『好きだよ』


耳に蘇る甘い声にドックンと胸が軋む。

あの夜―――囁いた言葉も触れたのも、相手は私じゃなくて麗那さんだったんだね。

胸がクルシイ……

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