【短編】友達彼氏
まだ、雨の匂いの残る朝。
空は気持ちのよい晴天。
昨日の牧瀬との帰り道を辿るかのように、まだ湿ったアスファルトを踏みしめる。
昨日、初めてキスをした曲がり角。
牧瀬がわざと意地悪を言った交差点。
お互い、話題を考えるのに必死だった公園の前。
記憶を巻き戻すように、ゆっくり歩く。
昨日のことなのに、遥か昔の思い出を辿るような、不思議な気分だ。
あのあと牧瀬は、無事に帰れただろうか。
風邪とか、ひいてなければいいけど。