もう、明日がないなら…
三 記憶
 窓からは、清々しい光がさしていた。その光が、美妃を朝だと知らせている。目覚まし時計など必要なく、彼女はゆっくりとまぶたを開き、小さくあくびをした。

 体を起こし、両腕を上げて思いっきり伸びをする。ぼんやりとしていた頭がだんだんと目覚めていく感覚を覚えると、ベッドからおりて身支度を始めた。

 自分の部屋を出ると、隣の雄哉の部屋のドアが少し開いていた。覗いて見ると、彼は大きなスーツケースに荷物を詰めていたのだ。

「雄哉さん、おはよう」

 ドアの部に手をかけ、顔が入るくらいの隙間を作り、美妃は彼に声をかけた。

「美妃、おはよう。入っておいで」

 いつもの優しいその笑顔で彼がそう言うと、美妃は安堵した笑顔を浮かべて彼の部屋に滑り込んだ。

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