通学恋愛
「おい、待てよ駿太!」


シュンくんが腕を伸ばす……が、あたし達の乗った自転車は、すでに坂を下り始めていた。


下りながら、佐久間はもう一度シュンくんを振り返る。


「浮気ヤローには関係ありませーん♪」


「浮気ヤローって…佐久間、浮気現場見てたの!?」


自転車に乗りながら、尋ねる。


「見てたし、知ってた」


シュンくんがなにかを言ってたけど、すぐに聞こえなくなった。


灰色の桜が、顔や体に吹き付けてくる。
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