ミルクティー

「     」




────────

──────…


俺を見るその目は、あのときと変わらず真っ直ぐだった。
俺は、この目が嫌いだったけど。


多分、羨ましかったんだと思う。


「これからは俺が、あいつを守るんで」

「…お似合いだと思うよ」

ようやく言葉を吐き出した俺の顔は、きっと歪んでいるんだろう。


「あんたは、ほんとはあいつのこと…」

「水野さん、待ってるよ。ほら、早く行きな」


ごめん、その先は言わないでくれ。
きっと俺がたどり着いちゃ行けない答え。

(…それでも。)


不満げな顔をしつつも、彼女の元に戻ると、優しげな瞳を水野さんに向けて何か言い、彼女も答えるように笑った。


見せつけるようなその二人に。

彼女の隣を堂々と歩ける彼に。


(嫉妬するくらいには、俺はきっと、水野さんを…)


思考を無理やり止めて、俺は仕事に戻ることにした。

そうして振り返ろうとしたとき。

水野さんと、目が合った。


もうきっと、これが最後。
目を見て、彼女がもう前を向いてることがわかったから。

だから、俺は口パクで彼女に告げた。



「      」



彼女の驚いた顔、そのあとの嬉しそうな可愛い笑顔。
これは、あの幼なじみくんには教えてやらない。

俺と彼女だけの、終わりの秘密だ。


散々振り回した俺が言えることじゃないけど。
幸せになってくれよな。



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