だから私は雨の日が好き。【夏の章】※加筆修正版





ぴったりとした緑がかった青のチューブトップ。

白の編み風ボレロ。

ロールアップデニムに黒のミュール。

気合よりは楽さを選んだこのスタイルも、森川にとっては「いいな」の対象なのだ。


実はそこまで服に興味がないのかな、と思うけれど、森川はきちんと自分に似合うものをセレクトしている。



とりあえずデパートの化粧品売り場に向かって足を進める。

森川はドアを開けてくれたり、私が歩きにくくないように、と人ごみを避けてくれたりした。


さりげないその仕草に、やっぱりいいヤツだな、と感心してしまう。



化粧品売り場に近づくと森川は足を止めた。

まずは遠くから見る、そして近づいて詳細を確認する。



真面目な顔はすでに仕事モードになっていて、うちの部署は『仕事バカ』が集まるんだなと実感した。



隣に並んでいるのもちょっと怪しい気がしたので、一人でぷらぷらと歩いてみることにした。

夏色の煌めく化粧品売り場。


青、緑などの色が多く、パールの効いた商品も沢山並べられていた。

こういうところで化粧品を買わない私は、見たこともないような物をくるくると見て回った。




「よろしければ、試してみませんか?」




色々なメーカーで声を掛けられるけれど、こういう場所に慣れていなくて断ってばかりだった。

一番驚いたのは男の美容部員さんがいることで、さすがにイケメン揃いだった。



うちの営業達がここで立っていても、別に違和感がないかもしれないと思うと、不思議な感じはするけれど。




< 94 / 188 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop