砂漠の夜の幻想奇談

色素の薄い王子の瞳が、きらびやかに着飾ったサフィーアを真っ直ぐに見つめる。


「シャール…」


その眼差しに応えるように、サフィーアは控えめな声で彼を呼んだ。


「お知り合いでございますか?」

驚き顔の商人が二人を交互に見た。


「ああ。……だが、夢か現か怪しいな…」

シャールカーンはサフィーアの顎をクイッと持ち上げた。


「触れ合えばわかるかな?」


互いの視線が至近距離で絡む中、重なり合った唇はひどく甘美なもので。


「んっ…ふぁ!?」


ゆっくりと差し込まれる彼の舌。

あっさり侵入を許してしまったサフィーアは、頬を熱くさせながら首を振って逃げようとするが、ガッチリと腰と頭を抱きしめられてされるがまま。

「…っん…」

舌も吐息も唾液も全て奪いつくされてしまいそうになる。


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