砂漠の夜の幻想奇談

小馬鹿にしたような尋ね方にサフィーアはムッとしつつも、順を追って説明していった。

ダハナシュという魔神に兄達の居場所を教えてもらったこと。

ダハナシュに砂漠へ連れていってもらったこと。

兄達がガチョウに変身させられていて、元の姿に戻すためには自分が羊毛で服を作らなければならないこと。

しかも、製作中の数年間は声が出せないこと。


「な!?声が出せないだと!?」

長椅子に座って大人しくサフィーアの声に耳を傾けていた王子は、この時初めて話を中断させた。

「そうなの。作り始めたら終わるまで、私はしゃべれなくなるわ」

「それでいいのか!?」

「いいも悪いもないの。兄上達のために私はやると決めたから」

儚くも頑なな微笑にシャールカーンは口をつぐんだ。


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