砂漠の夜の幻想奇談

そして、数秒後。

何もなかった砂漠のど真ん中に見事な宮殿が現れた。


「ほ、ほら!お頭!見て下さいよ、あれ!亡霊の住む宮殿ですよ!」

この砂漠には数百年も昔から真夜中に亡霊が出るという民間伝説がある。

その亡霊はとても立派な宮殿に住んでいて、この砂漠を通る者を宮殿に引き寄せる。

そして――。


「俺、殺されるって聞きましたよ」

「オレは歓迎されるって親父から聞いたぜ?」


諸説あるようだ。


「なら確かめに行こぜ。殺されっか、歓迎されっかをな」

お頭の提案に子分達はそれぞれの表情をしたが、頑固なリーダーが決めたことは絶対。

彼らはラクダを走らせ、宮殿の入口へと近寄った。


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